新年のごあいさつ


 皆様明けましておめでとうございます。年頭に際しご挨拶申し上げます。

 昨年はリーマンショックの影響で100年に1度の経済危機、世界恐慌の再来、と懸念された2009年を何とか乗り越えた年でした。 まだしばらくヨーロッパはゴタゴタしそうですが、日本では企業における設備投資も徐々に増え、今年の暮から来年の頭には 景気は持ち直すだろう、と大方予想されています。20年間の日本の雌伏の時が終わりを告げようとしているようです。ただ、 それが沖縄県に住む我々に還元されるのはまだもう少し先と思われますので、もうひと踏ん張りといったところでしょうか。

 しかし、こういった状況下でも科学技術の進歩は著しく、貧しい時にするべきことはやはり学問であり、学問は将来を引っ張る 「光」になり得ると感じたのもまた昨年でした。いずれにしろ、経済の発展も学問の進歩も、平和であってこそ。昨年の沖縄 近海の島々をめぐる奇妙な動き、日本周辺に漂う暗雲は、価値観の異なる隣人との付き合い方を考えさせられるきっかけになった ように思われます。

 また、昨年夏は沖縄県民悲願の甲子園での春夏連覇があり、高校野球史上では素晴らしい年でした。学問もですが、スポーツの 頑張りも我々を導く「光」になり得ます。もはや昔の沖縄県のイメージは影をひそめた感じで、常に倦まず弛まず努力を重ねれば、 目標は成就できることが証明されたような気がします。

 さて、私自身を顧みますと、渡久山整形外科を引き継ぐという転機を迎え、9月に開業いたしました。私も先人のバトンを次世代に 引き渡すまで走り続けようと覚悟した年になりました。

 開業当初から心掛けてきたことは、専門性を活かした医療を提供することでした。そのためには、職員の知識の充実を最優先に考え、 最低1カ月に1回は院長による勉強会を開催してきました。また、各製薬メーカーの医薬情報担当者の方々にお願いし、日進月歩する 新薬の説明会をして頂きながら、いろいろな業種の方々と交流する場を持つことにより、日々向上しようと努めて参りました。外来の 患者さんの待ち時間を少なくする工夫も昨年の課題でした。

 今年の抱負ですが、沖縄県の生活習慣病の治療に貢献するためのキーワードは「流れを創る」ことだと思います。昨年、特定健診に ついての浦添市の現状を新聞紙上に投稿しましたが、受診の呼びかけのみに終わっていると言うご批判を承り反省しております。今後 の具体的な検討課題として、企業における健康診断にしても、従来のものと比較してもっと分かり易い形で発信して行きたいと考えて います。さらに、従来からある生活習慣病の治療、糖尿病の治療なども、受診者に魅力のある格好にして行けなければ、「新しい流れ」 は期待できないと考えています。

 糖尿病の薬剤はこれからもどんどん開発され市場に出てきます。特に今年から来年にかけては、降圧薬の合剤、ジェネリック剤なども 合わせると百家鳴争の様相を呈しています。専門性を深めるためにも、個々の患者さんにふさわしい治療をするためにも、私自身が学会 や勉強会などに出席し続けようと考えています。

 これからさらにクリニックの認知度の向上、地域に根ざした医療、専門性を活かした医療とその発信、研究への取り組みなど、課題は 山積しています。今年は卯年ですので、昨年をホップとし、ステップ、ジャンプの三段跳びで、来年は昇龍の年を迎えたいと思っており ます。

 今後とも宜しくお願い申し上げます。

                         2011年 1月

島尻キンザー前クリニック

                          院長  島尻 佳典